中学一年生の我が家の1番っ子。
幼児期には軽度知的障がい+ASDと診断済みです。
注意欠陥・多動傾向も強かったため、小学校入学時から支援級に通っています。
そして今年三月には無事に中学校へ進学。
まだ新生活がスタートして3ヶ月あまり。
しかし担任の先生からは「中学卒業後の進路について、いまから考えるように」と既に促されています。
早っ。
1番っ子はこれまで「普通高校に進学したい」と希望していました。
我が家が暮らす地域では、数年前から一部公立高校でも「軽度知的障がい児を一般クラスに受け入れる」という取り組みをしています。
対象児は「面接や体験会への参加必須」ではありますが、「試験」という形での入試は受けません。
我が家は「理解と適切な支援を受けるためにも、本人もきちんとマナーや勤勉性、忍耐力を身につける必要がある」との考えをモットーにしています。
そのため、学校でしっかり授業を受けることは当然とした上で、家庭での学習も毎日コツコツと取り組んできました。
しかし、先日初の定期試験で、結果は見事惨敗。
軽度とはいえ流石、知的障がい児です。
「問題文の長さや言い回しの難しさ」、「回答を漢字で書く(当然誤字は駄目)」、「正しい順番で並び変えてから2番目と4番目には何が入るかまでを考える」など、小学生時代のテストとは異なる困難に多数ぶつかったみたいです。
内容はそんなに難しいものじゃないんですけど「基本+α(ひと捻り的思考)」が必要で、それがダメみたいで・・・・。
いやはや、仕方がない。
私が1番っ子だったら「ここまでやればほぼ満点」だろうな~、と感じることができるくらい勉強したんですけどね。
でもそれでもいいのです。
毎日コツコツ一緒に学習しました。
忍耐強く努力して出した結果です。
「きちんとやらなかったから酷い点数!!」だなんて、絶対に言いません。
テストの点数は進学のために必要なものですが、どんな数字であろうとも頑張った事実は変わりません。
「努力と勤勉」という目的を達成したことは、横で勉強を教えていた私が一番分かっています。
本人だって毎日頑張ったことは、忘れないでしょう。
自信につながりますし、その姿勢を評価してくれる人もたくさんいます。
そして陰ながら頑張りを見守り応援してくれる人たちも、少しずつ増えていくはずです。
現に、「テスト勉強」兼「テスト前課題」となる各教科の副教材は、他の生徒さん同様にすべて取り組み、無事に提出することができました。
そしてそれについては先生方から高い評価をいただきました。
特に数学はA判定と共に「よく頑張っていますね」とメッセージまで書いていただきました。
それに気づいたときは本人もとても嬉しそうでした。
数学は本人の希望で、学校では学年の授業は受けずに、支援級で小学2~3年生レベルのプリントを中心に取り組んでいます。
その状況で副教材をこなし、定期試験に挑んだのです。
何日もかけてすっごい地味な道のりでした。
理由などの詳細はこちら↓↓↓。
ちなみにテストでとれた点数は1/4強くらいでしょうか。
いや、もっと少ない?
全く授業受けていない割には、正解が複数あったことを褒めてあげたいです。
普通高校で「特別枠」を利用した進学の場合は、一般受験の子たちのように「入試での学力試験」を必要とはしません。
入学後は何をもって成績評価されるかはまだはっきりとはしておりませんが、本人のやる気や真面目さ、人間関係や活動や学習で困難に直面したときの態度が評価されるでしょう。
よって「定期テストの点数自体は気にしない」でも良いのです。
突然、分教室進学を希望し始めた
ところで先日の夕食時に、1番っ子が「高校は〇〇高にある分教室に行く」と言い出しました。
1番っ子が言う「分教室」とは、特別支援学校や養護学校の分教室のことを指します。
近年は障がいを持っている生徒の特別支援学校や養護学校への進学希望が年々増加しています。
そのため「障がいを持つ子どもたちの教育の場の確保」等を目的に、地域の公立普通高校の空き教室を間借りして運営しているようです。
様々な素敵な理念が挙げられていますが、設置理由の本音としては↓↓↓なのでしょう。
特別支援学校分校・分教室設置に至る背景は地域の実情に応じて大きく異なっている。各都道府県の計画をみると、概して児童生徒の増加対応策として特別支援学校の新増設や複数障害種を対象とする特別支援学校の再編を挙げるものが主流で、通常学校への分校・分教室設置を明記するものは少ないといえる。まして、ノーマライゼーションや共生・共育の理念からの分校・分教室設置は、一部の都道府県を除けば、まだ副次的な位置づけにとどまっていることが察知される。
要は「支援を必要とする児童・生徒数が増加して本校に収まりきらなくなったから
軽度障がいのお子さんは分教室に行ってね」ということらしいです。
一応、ノーマライゼーションとか共生教育とか素敵な理念を掲げているけど、本音は「軽度障がい児は二の次よ!!」みたいな。
我が家から通える分教室は4校あります。
3校はバス一本で行けます。
普通高校の空き教室5~7部屋を間借りして、そこで特別支援学校や養護学校在籍児として過ごすとな。
普通高校の校舎内で過ごしますが、そこの生徒ではないので各施設の使用は制限されることもあるそうです。
間借りした教室の中をパーテーションなどで区切って、複数スペースを確保しているところもあるとのこと。
もちろん普通高校の部活動への参加は認められません。
軽度障がい児対象であり活動できるスペースや支援にあたる人員が限られているため、入学には
・自力通学や学習を含む集団生活が可能であること
・障がい者手帳の所持やそれがない場合は中学校から推薦されること等
(もちろん選考は手帳所持者が優先です)
が条件となります。
正直、親から見たら環境としては不十分感が否めません。
3年間真面目に通学しても、居候のような感じなのかな・・・・なんて考えてしまいます。
これだけの情報からですが、父であるマイダーリンもあまり良い印象は感じていないようです。
学校の中で堂々且つのびのびと生活してほしい。
やりたいんだったら部活とかもしてほしい。
高校卒業資格も取得してほしい
(普通高校の校舎に通いながらも「特別支援学校・養護学校所属」なので、卒業したら高卒ではなく「特別支援学校高等部卒業」になります)。
勝手な願望ですが、親として「ありきたりな高校生像」を求めています。
通う本人にとって大切な事は何か
マイダーリンの気持ちは十分に理解できます。
特別なことは何も望んではいません。
ひとより優れた学生生活像なんて、何一つ求めていません。
「楽しい青春時代を送ってほしい」
ただそれだけです。
情報から、耳に入る「分教室の環境」から
それすらも不可能なのではないかと不安になってしまうのです。
でも実は、私は仕事を通じて分教室に通っていた人たちを何人か知っています。
彼らは決して「楽しくない」「我慢をしている」「肩身が狭い」ような学生生活を送っているようではありませんでした。
「友達もいるし、毎日きちんと学校に通って勉強できた」と笑って教えてくれました。
いま1番っ子は支援級に所属しながら、主に普通級で普通級過ごしています。
朝は拠点の支援級に登校し、そこから普通級での活動に向かい、数学と理科、給食+昼休みと終業には戻ってくるという日常を送っています。
「できる部分はしっかりやってほしい」という私の気持ちと
「大丈夫だと思う授業は普通級で受けよう」という1番っ子の考えから、このような中学校生活になりました。
本人曰く普通級ではお話するお友達はおらず、給食や休み時間は専ら支援級の教室で過ごしているとのこと。
支援級にはお友達がたくさんいて、毎日仲良く楽しくじゃれ合っているみたいです。
三者面談の時に支援級の担任の先生もそう仰っていました。
軽度知的障がい児の支援を謳う普通高校の通常級に「特別枠」として通うより
同じような課題を持つ子たちが集まる場所で助け合い切磋琢磨しながら過ごす方が楽しい学校生活を送れるのではないか。
最近はそんな風に考える私もいます。
学校の中で堂々且つのびのびと生活してほしい。
部活とかもしてほしい。
高校卒業資格も取得してほしい
現代の日本において、これは「贅沢な願い」ではないはず。
しかし私は、この願いの中に現れる「子」は、1番っ子ではないような気がします。
中学校に進学してから口数が極端に少なくなった1番っ子。
家庭では言葉を発さないことも普通にあります。
話しかけてもほとんど反応がないことも。
本人は学生生活についてどんな願いを持っているのか、
正直はっきりと分かりません。
まだ中学一年生なので、卒業後や将来について十分に考えるなんて難しいでしょうし。
そもそも障がい故に、上手に言葉で自分の考えを説明できないことが多々あります。
ただ、なんとなく私たちの理想とは違うもの、もっと単純で根本的なものを求めているような、
母としての直感でそんなことを感じている今日この頃です。
分教室志望の動機は・・・
ここまで長々とお話しましたが、1番っ子が自分から教えてくれた「分教室に進学したくなった理由」は
現支援級2年生のお友達(小学生の頃から仲良し)が通うと言っていたからです。
・・・・・・・。
まぁ、そんなもんです。
以前「普通高校に行きたい」と言っていた時の理由も、「高校生になったお友達のお兄ちゃんがカッコよかったから」ですし。
本人の志望動機を思い出すと、私が思い悩むこともアホらしくなってきます(笑)。
ただ「どっちに行ってもいいよ」と答えられること、本人が選択肢を持つことに抵抗感を感じないこと、
そうさせてくれるくらい1番っ子は日々頑張っています。
現在我が家が暮らしている地域は、障がいを持つ子に支援を謳う公立普通高校が2校、特別支援学校・養護学校の分教室が4校もあります。
ほとんどがバス1本+徒歩で通うことができることから、結構な好立地と言えるかもしれません。
またそれ以外に、自宅からバスや電車一時間圏内程度の場所に、「課題を持つお子さんを中心に受け入れている私立校」が複数あります。
先生は熱心且つ丁寧でいじめの火種もすぐに対応し、子ども達が安心して楽しく学校生活を送れるように尽力してくれるという定評の学校です。
当然部活も参加出来るし、校内の設備を利用する権利もあります。
私達親が理想とする青春像と1番っ子本人が望む学校生活像が、もしかしたら重なる場所かもしれません。
支援者として大切にしたいこと
親としてではなく障がい児者支援の仕事をしている立場から、1番っ子に大切にさせたいことが一つあります。
それは前向きに、確実に、真面目に学校に通うことです。
高校だろうと特別支援学校だろうと、どこに進んでも、そこを卒業した後も同じ。
義務教育終了後の進学は、一部を除いてほぼ「学力」という実力基準です。
先に進めば進むほどそれが顕著になっていきます。
知的障がい児である以上、学力は小学校卒業程度で頭打ち。
6年後は「就労」をしている可能性が大です。
ならば尚のこと、「社会適応に必要な能力」をこの数年間で体得しなければなりません。
やはり今後進路については、早いうちから情報収集をして、本人と一緒に幅広くイメージトレーニングをしておいた方がよさそうです。
そうはいっても当の本人は、特になりたい職業があるわけでもないし。
ついこの前までどっぷり小学生だったので、「高校進学」といっても今はピンとこないようです。
しかし、「大人に言われたからなんとなく」や「他に行ける学校がなかったから」という理由で高校に進学したお子さんの中退率は結構高いです。
他人任せや消去法による決定では、高校生活を乗り越えることはできないということでしょう。
研究で明らかになっていることなので、中学の先生が具体的な高校名を挙げて積極的に勧めることは少なくなったようです。
つまり、本人がピンと来ていなくてもパンフレットを眺める等して高校生活のイメージを持つことは結構大事。
日頃からリビングに置いておけば家族と共有もできて、進路について話しやすくなるかもしれません。
「先ずは近場の学校を下調べ」程度に資料を集めるのもいいでしょう。
いまは支援が必要なお子さんを対象にした学校もたくさんあります。
人気の通信制高校・サポート校・専門学校・大学が満載!【なるには進学サイト】
は、ソコソコ参考になりました。
サポート校と提携している学校の資料請求もできたので。
テーブルの上にパンフレットを置いて「見てみなよ~」と声をかけると、1番っ子も何となーくページをぺらぺらとめくっています。
こうやって少しずつ「将来に向けてのイメージ」を共有していていこうと思う今日この頃です。
何を選んだとしてもどこに進んだとしても、真面目に、周囲が納得できないような欠勤(欠席)や遅刻をせず、礼儀やマナーを大切にして適切な社会生活を送らなければなりません。
社会の中で生きていく、ましてや他人から支援をしてもらう可能性が高い以上、自分も相手や世の中に敬意を払い、出来ることはしっかりと自分で行い、真面目に生きていく必要があります。
これが出来れば、応援してくれる人が増える。
助けてくれる人もいる。
信用して力になってくれる人が現れるはずです。
この条件をあらためて考えると、
本人が前向きに真面目に、無理なく学生生活を確実に送ることができるならば、
それだけで十分なのです。
まとめ
色々書きましたが、1番っ子の中学校生活がスタートしてからまだ3ヶ月。
本人も卒業後のことまで考える余裕はありません。
そして私も情報をしっかりと収集しきれていません。
まだまだやらねばならないことはたくさんあります。
取り敢えず、秋から各学校の説明会が開催される予定です。
まずは近隣に通えそうな学校があるか情報収集してから、それらにアプローチしていこうと思います。
1番っ子には「進学先は分教室でも全然構わないけど、友達が行くからという理由だけで決めるのはよろしくない。自分の目で見て話を聞いてココがイイ!と思える場所を一緒に探そう」と伝えました。
本人はニコニコして頷いてくれました。
一緒に実際の学校を確認して、そこの魅力や進学希望となる材料を探してきたいと思います。
また説明会には公共交通機関で行き、通学イメージを持たせたいところ。
バスや電車が激混み路線且つ長時間だったりしたら「3年間続けられるだろうか・・・(汗)」と追々不安なので。
どうか2年後には、しっかりと目標を決めて動き出せますように・・・。
今日も読んで頂きありがとうございました☆
追加:その後
無事に進学先が決まりました!!