年齢=障害者家族歴な主婦のドタバタのほほん日和

重度自閉症者のきょうだい児として育ち、結婚後は軽度知的障害児二人の母になりました。障害支援分野でNsをやっています ☆

イライラの理由を伝えず行動に表す我が子の気持ちとその対応

皆さん、こんにちは。

突然ですが、「受動的攻撃行動」という言葉を聞いたことはありますか?

「ない」という方がほとんどでしょう。

受け身で攻撃?武道のすご技みたいな感じが若干しますが、違います。

簡単に言えば「自分の不平不満を遠回しに表現することにより、自分に注目させつつ相手を困惑させ欲求を満たそうとする行為」です。

例えば夫婦で、

夫「ねえ

妻「・・・(イライラ)」

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夫「ねえってば。なんで無視するの?(困惑)

妻「・・・(イライラ)」

夫「(なんか怒っているみたいだからご機嫌とらなきゃ)」

みたいな感じ。

受動的攻撃行動は様々な方法で現れるが、根本的には皆同じである。直接衝突することに対する恐怖と回避、そして無力感と孤立感が内在している。それでは結果はどうなるのか。口にしない権力争いが様々な形で現れるのだ。起こり得る兆候は次の通りである。

  • 皮肉
  • 無視
  • 親密になることをしない
  • 賞賛をしない
  • 批判的
  • 妨害行為
  • 遅延
  • 頼んだことを何もしない

「受動的攻撃性の人間は他者に衝突に参加してほしいと思うため、これら受動的攻撃行動を意図的に行うこともある。しかしその他の場合、それは全く意図的ではない。」

 https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/29/stop-being-passive-aggressive-behavior-signs_n_5540839.htmlより引用 

そう、この行動は「無力感と孤立感」が原動力となります。

この行動をする人は、相手に分かりやすく自分の不平不満をぶつけることをしません。

結果として、相手と直接対決することを避けようとしているのです。

しかしその裏で、不平不満とは関係ない行動をして相手を困らせ、自分に都合よく状況が動くように仕向けてたりします。

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私が病棟看護師をしていたときに、受動的攻撃行動を強烈にする先輩がいました。

その先輩は、上司にはいつもニコニコ。でも私たち後輩に対しては、睨むか無視。

閉鎖的縦社会なので、後輩は下手に反撃してしてこないことを見越していたのでしょう。

なんだか分からないけど、いつもみんなで気を使っていました。

ナースステーション内の物品はその先輩が使いやすいように並べられ、その先輩の翌日業務を減らすため前日勤務者が残業をしたり・・・。

後輩みんなが自分の都合よく行動し、毎日が左うちわな先輩でした。

しかしある日、病棟に「自称元ヤン看護師」が移動してきました。

キャリアはほとんど同じでしたが、先輩看護師は上司に気に入られています。

自分の方が立ち位置は上!とばかりに、速攻で相手を見下す態度に出ました。

しかし「自称元ヤン看護師」は、自分に気を使ってくれません。

「察しろよとばかりに」嫌みを言って遠回しな攻撃をしていました。

しかしそれにピンときた「自称元ヤン看護師」。

嫌味ったらしい先輩看護師をじっと見て「あんた、随分と偉そうだね?なんで?」とハッキリ言ったのです。

しかもとみんなの前で大笑いしながら。

しかしその目は笑っていませんでした。

いままでは舌打ちひとつでオドオドする後輩ばかりだったのに、思い通りにならない相手が現れ一気に動揺する先輩看護師。

口をパクパクして「もういい。あなたには何も頼まない」とだけ言って病室を飛び出しました。

そしてナースステーションに駆け込み、いい歳してみんなに聞こえるように大号泣。

他の看護師から事の経緯を聞いた上司は「自称元ヤン看護師」を恐れ関わろうとせず、大泣きしている彼女を放置。

平和に仕事をして定時には退勤することが唯一の夢である後輩看護師達は「コレ、どーしろっつーのよ」状態・・・

みたいなことがありました。

その先輩看護師は後日、居づらくなったのか自分から異動届けを出し他の病棟勤務になりました。

誰からも異動を惜しまれることもなく。

結局、最後まで無力で孤独な人でした。

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これは極端な話(だと思いたい)ですが、受動的攻撃行動は大なり小なり誰もがしてしまう可能性があるものです。特に子供は尚更。

なぜなら人は生まれながらに無力だから。新生児ですら大人に守られ生き残る(自分の都合に合わせて行動してもらう)ために、みんなを虜にするような笑い方をすると言われています。

自分の状況を良くするためにひとを動かそうとする行動は、ある意味本能のなせる技。

しかし様々な経験・それによる成長と共にこの行動は減少していきます。

人を動かすのではなく、段々と自分で行動し目的を達成することの大切さを学んでいくからです。

受動的攻撃行動の減少は「大人の階段を登る」ことを表すのかもしれません。

 

「察してもらってなんとかしてほしい」という気持ち

1番っ子は戦国武将や武士が大好きです。

最近の宝物は、100均で購入した「刀のおもちゃ」です。

プラスチック製の子のおもちゃを振り回しては、日々鍛錬(!?)に勤しんでいます。

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しかし先日、床に落ちていた刀のおもちゃを2番っ子が踏み壊してしまいました。

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大事な大事な宝物を壊されて怒り心頭な一番っ子。

でももとはと言えば床に放置していた自分が悪いので、年下相手に理不尽な怒りをぶちまけるわけにはいきません。

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 でもこの怒りを理解してもらって「なんとかしてもらいたい」1番っ子。

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おもちゃを壊した2番っ子ではなく、私=「なんとかしてくれそうなひと」の横にわざわざやって来て「自分怒ってますよ」アピールをしつこくしてきます。

まぁ、唸ってるだけで実害はないのでいいんですけどね。

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でも鬱陶しい・・・。

ちなみにこの場合の「なんとかしてほしい」とは、「新しい刀のおもちゃを買ってほしい」でしょう。多分。

そんなことぐらい自分の口から伝えればいいじゃんと思いますが、1番っ子は言えないみたいです。

きっとこれが「無力で孤独」な気持ちの表れなのでしょう。

まぁ、私もそれを言われたところで「100円なんだから自分のお小遣いで買いなさい」で終わらせるつもりです。だってもうすぐ中学生だし。

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いい加減面倒くさいのではっきり伝えてしまいました。

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図星を突かれて反撃できない1番っ子。

これで「母に向けて受動的攻撃行動をすることにより、新しい刀のおもちゃを買ってもらおう作戦」は終焉を迎えました。

しかし・・・・

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残業帰りの父が帰宅。

今度は父の前で震えて涙ぐむ1番っ子。

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 父に気付いてもらった途端、ソッコーで号泣。

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父はオロオロ。

しかし私から理由を聞いて合点。「なるほど!わかったぞ!!」と意気揚々に1番っ子に近づいていき提案します。

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受動的攻撃行動をしなくても「泣き落とし」という技を使えばイチコロの父なのでした。

 

めでたしめでたし。

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ガクッ・・・・。

 

受動的攻撃行動への対応のポイント

家族から受動的攻撃行動を受けた場合、どんな理由があろうともその理不尽さを受け入れようとする必要はありません。

ましてや怒りや悲しみを押し殺して「子どもを理解する良い親」になろうとしてはいけません。

それは受動的攻撃行動をしてしまう本人のためでもあるのです。

一番大きな失敗は、彼らに対して寛大な態度をとることである。一度受動的攻撃行動を許してしまえば、他の選択肢をすべて失ってしまうことになる。

https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/29/stop-being-passive-aggressive-behavior-signs_n_5540839.htmlより引用

受動的攻撃行動の根底には、問題に向き合わずに周囲に解決してもらおうという気持ちが多分に含まれています。

この行動への達成体験を積ませてしまえば、然るべきときに自助努力をすることもせず「誰かにやってもらえばいいや」という精神の持ち主になってしまう可能性は大きいです。

なぜならひとは心弱き生き物だから。

受動的攻撃性の人に立ち向かう場合、まず起こっている問題を明白にする必要がある。対立の際に危険なのは、言葉が大まかになってしまうことだ。例えば、「どうしていつもこういう態度なんだ!」というような言葉ではらちが明かない。人と立ち向かうときに大切なのは、特定の行動に関して話すことである。例えば、無視されたことに対して注意したいのであれば、どのような時に無視を受け、それをなぜ敵対行為だと思ったのかいうことを詳しく説明する。ありのままのことを言うのだ。

https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/29/stop-being-passive-aggressive-behavior-signs_n_5540839.htmlより引用

実際にしてしまっている受動的攻撃行動を具体的に教えましょう。そして「私にそんなことをしても自分の思い通りにいくと思うな!」と冷静な態度で示しましょう。

そして、その上で「ひとを攻撃して何とかしてもらおうとせず、自分で解決しなさい。そんな甘えは受け付けない」と毅然とした態度で対応しましょう。 

不当な扱いをされることを容認しないという態度をはっきりと見せなさい。

https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/29/stop-being-passive-aggressive-behavior-signs_n_5540839.htmlより引用

 

受動的攻撃行動の見分け方

「子どもが訳の分からないイライラをよく私にぶつけてくる。これは受動的攻撃行動なの?」と思う方。

簡単な見分け方をひとつ紹介します。

それは「その行動は相手を選んで行っているか」という点です。

彼らは、力を持っていて怒りっぽい性格の人間に直接関わることはできない

https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/29/stop-being-passive-aggressive-behavior-signs_n_5540839.htmlより引用

最初に述べましたが、受動的攻撃行動をするひとは相手との直接対決を望んでいません。

そのため自分の行動に対して、困惑することなく速攻で怒るようなひと=瞬間湯沸かし器=マイダーリンのような相手には受動的攻撃行動は仕掛けません。

実際に1番っ子はマイダーリンが現れてすぐに泣き落としに転じましたね。

ちょっと前までは、父とけんかをする度に私になんとかしてもらおうと物を叩いたり大きな音を立てていたのに。

詳しくはこちら↓

www.mosikasitara-iina.work

横で唸ったり泣き落としを試みる姿を見ると、比較的平和な受動的攻撃行動をするようになったと内心思っている私。

これも成長のひとつなのか・・・?!

www.mosikasitara-iina.work

ところで↑の記事でも言及しましたが、1番っ子は現在なんらかの孤立感を抱えているかと考えられます。ただしこれは特別なことではなく、思春期特有の心の反応なのでしょう。

しかし、もしかしたらそれに知的障がいや発達障がいの辛さが加味されているのではないかと心配しているところではあります。

衝突を避けたり怖がったりする人々は、自尊心が低く自信がない人ほど受動的攻撃性格になる 

https://www.huffingtonpost.jp/2014/06/29/stop-being-passive-aggressive-behavior-signs_n_5540839.htmlより引用

受動的攻撃行動を止めるように働きかけるだけではなく、この点に関してもっしっかりとアプローチしていく必要がありそうです。

というよりも、このアプローチの方が重要であるかと!

親として何をしてやれるかを日々考える毎日です。

 

今日も読んでいただきありがとうございました☆