皆さん、こんにちは。
今回は前回に引き続き、2歳児の社会性の発達の特徴や課題と支援についてお話したいと思います。
先にお断りさせていただきますが、これは私がこれまで勉強してきたことと仕事等の経験を合わせた私見としてお話です。
読み流して下さって結構です。
それでは行ってみましょう!レッツ・魔の2歳児~♬
2歳児はなぜ「魔」!?
ほとんどの親御さんが耳にしたことがある「魔の2歳児」という言葉。
2歳という時期は、それだけ親を煩わせることが多いです。
主な理由は社会性の発達に早くも大きな変化が訪れるからなのです。
何をしても良く、回りの大人が危なくないように、と守ってくれていた時期から、自分で身を守るためにも、「だめ」とか「アップ」と言われ、やってはいけないことがあることを学びます。「良いこと」「悪いこと」という言葉でわかるだけではありませんが、二つの反対の考え方がわかっていくのは、標準的な発達では、1歳半から2歳半前後の時期です。
この変化により親子の日常に非常に強いストレスを与えてくれるわけですが、逆に言うとこれくらいのインパクトがないと社会性の発達が停滞している可能性も考えられるのです。
またこの時期は大人と同様に子ども自身もストレスを感じることが多いと考えられるのですが、子ども自身がこのストレスに慣れ適応できるようになることも重要です。
それが克服できないまま年齢を重ねると、集団生活の中で親以外の人間にも強いストレスを与える言動・行動を日常的に行うようになってしまいます。
親は我が子のよろしくないところも含めて愛してあげることができる偉大な存在ですが、赤の他人にそんなことは到底無理です。
ほどんどの人にとって日常的に強いストレスをもたらす存在は受け入れ難いものです。
これにより集団・組織・社会的活動の参加はこれ以降どんどん難しくなっていくでしょう。
その為これを克服できずにいるお子さんは、今後も強いストレスを抱え続ける可能性が高いです。
これから上記の特徴も含めた上で2歳児の社会性の発達の特徴について説明したいと思います。
「アレもコレも気になる!楽しそう!やってみたい!」からの気づき
ついこの前までたどたどしくよちよち歩きをしていた子ども達。ただ動き回っているだけで見守っている親を幸せな気持ちにさせてくれますよね(⋈◍>◡<◍)。✧♡
そんな子ども達も2歳になる頃にはよりしっかりと動き回れるようになります。
それによりどんどん世界が広がっていきます。
季節を感じ世の中には様々な明るさや色がある、自分の周りには様々な物が溢れている。
見てみたい!触ってみたい!感じてみたい!
好奇心を原動力にどんどん世界を広げていきます。
そこで気付くのです。
世の中には色々なものがあり身近な大人以外にもたくさんの人がいて、それには様々な役割があるということを。
また自分以外の子どもの存在にも気付き、その子たちも色々な遊びをしている、と。
そうなると好奇心が刺激され「自分も同じようにやってみたい!」という気持ちがむくむくと湧いてきます。
この時期の子ども達はお砂場やトミカやプラレール、おままごとセットなどの周りに他の子がいると寄って行って遊び始めることが多いですが、そばにいる子に話しかけるなど自分からコミュニケーションを取ろうとすることはありません。
似たような遊びをして、その中から新たな発見をしていくのです。
それに伴い自分と年の近い子との距離を縮めます。
これにより、この後に家族以外の子と友達関係を築くための基礎ができていきます。
・存在や役割が分かり始め、概念が多角的に広がる ・周囲の子の遊びに興味や関心を持ち始める ・「嬉しい」「悲しい」「出来た」などの感情を表し共感力が育ち始める |
社会の広がりと共に「気持ち」や「自分」に気付く
人間関係が広がり始める兆しが見えつつありますが、この時期のコミュニケーションの相手は主に大人なので、このときに「出来たね」「楽しいね」「嬉しいね」「残念だったね」などの共感の言葉かけを多く行われた子は、自分の感情に気付くと共に相手に共感するということも学びます。
感情に気付き共感するということは、これから他の子と友達になり自分の感情を表現しながら仲よく楽しく遊ぶ為に非常に重要なことです。
今後人間関係を築いていく中で、相手の気持ちを考え嫌なことはしないように気を付けたり、お互いが楽しめるようなことを考えたり、これからの人生の中でお付き合いをする上で当然のようにすることとなるでしょう。
また、世の中が広がり「他の人」がたくさんいることを知ったことにより「自分」という存在にも気付きます。
「自分」に気付くと共に、愛着のあるおもちゃや持ち物を「〇〇ちゃんの!」と主張するようになります。
これは、それが「自分の物」であるという意識が生まれたという証です。
子育て支援センターなどに行くと、施設の特定のおもちゃを他の子が使って遊んだといって怒るお子さんが時々います。
このおもちゃは「自分の(好きな)おもちゃ!」という意識があるのでしょう。
まぁ、施設のおもちゃなので大人は「みんなのおもちゃだから仲よく使うんだよ」と教えなければならないのですが・・・これが結構大変なんですよね(苦笑)
でも「自分の!」「あの子の物」「みんなの物」を繰り返し教えられて行くことにより「自分の持ち物」への認識が深められていくのです。
これが行く行くは「自分の持ち物を管理する」能力へとつながります。
逆に「自分の持ち物」への認識が低く注意が向かないと「自分で持っていよう」という気持ちがなかなか生じません。
このまま行くと小学校就学後にやたらと忘れ物が多かったりよく物を失くす子になる可能性が考えられます。
基本就学後は自分の持ち物は自分で管理しなければならないので、学校生活で忘れ物や紛失が多いとお子さんが困ることになるでしょう。
・「自分」「他の人」が分かる ・「自分の物の管理」を大人と共に始める |
「よい」「ダメ」の変化
1歳児の社会性の発達の特徴でお話しましたが、1歳児は身近な大人の様子を見て社会的な「よい」「ダメ」を感じながら学びます。
2歳頃にはお話をすることが1年前と比べてかなり上手になっています(我が子たちは二人とも単語もまともに話ていませんでしたが、言われていることはなんとなく理解しているようでした)。
なので気になることも質問することができるようになります。
「なんで?」と。
気になることを質問して教えてもらいながら世の中のことをさらに知っていきます。
様々な経験を重ね、分かることも出来ることもどんどん増えていきます。
すると自分の考えやり方がムクムクと出てくるようになるのです。
ときにそれは大人が「そんなやり方しちゃダメでしょ!」と注意したくなることだったりするのですが、子ども達はお構いなしに「いやー!」と自分の考えややり方を押し通そうと頑張り始めるのです。
そう、これが第一次反抗期、またの名をイヤイヤ期です。
大変ですよね、これ。ええ、かく言う私もブチギレしそうになりましたよ。
子どもに合わせて思い通りにできたら我が子もニコニコ機嫌よくなって騒がなくなるだろうし楽だろうな、と何度思ったことか・・・。
しかしそんなことしていたら当然マナー違反やひとの迷惑になることも多々あるわけで・・・。
何がなんでも我慢させなければならないことも必然的にありました。
「我が子vs私」みたいな感じで公衆の面前で戦いましたよ。欲しいからってお店の売り物を持ち出しちゃいけない、(家のおもちゃとか)持っていきたいというから持ってきたんだから家に帰るまで自分で持ちなさい(気が済んだら「もういいや」じゃない)、お店のトイレの水を何度も流して遊ばないない、などなど(ゲンナリ)
恥ずかしいですよねー、人前で子どもを怒るって。「小さい子なのに可哀そう」ってヒソヒソされそうって他人の目を気にすることもありました。
でも周囲の目を気にしてここで子どもに合わせて好き勝手させていたら今後大変なことになります。
なぜならここで「我慢をする」「自分でやる」「自分ルールではなく大人のルールに合わせる」ことを経験し学んでいるからです。
これは↓↓↓でお話した「気持ちの自律」の始まりです。
ここでこれを学べなければ、「自分は我慢をせずに周りに合わせてもらう」「出来ることでもやりたくなければひとにやってもらう」ことが当たり前の感覚になってしまうからです。
これは大変です。いわゆる自己中ってやつです。何事も「めんどくさいからヤダー」「いーじゃん。やってよー」って大人に対して言うようになります。
Yくんの行動の問題をどうのように考えたらよいでしょうか。まず、これまで、比較的おとなしい子だったとお母さんが言うように、行動を止められる場面も少なかったのではないかと考えられます。やってはいけないことは「ダメッ」とはっきり、きっぱりと伝えたことで、行動が少しは止められるようになっているので、やる寸前に止めてやり、だめなことをしっかり伝えることが大事です。また、自分がやりたい、という主体者としての「自分」がかなりはっきりと現れわれてきた時期なのだと思います。それに対して、言葉の発達がまだゆっくりで、アンバランスがあります。他の子との関係では、たとえば、おもちゃを「かして」と言って持っていったとしても、Yくんには、「かして」の意味がわからないうちに、自分の遊んでいたおもちゃがなくなってしまった、と感じているのかも知れません。「ちょうだい」と身ぶりをつけて伝えていくことを、他の子たちにも話し、わかる言葉から関わりを広げ、さらにその中でYくんにも「ちょうだい」を確実にわからせていくことが大事なところです。
お母さんが悩んでいる八つ当たりといえる行動について、「だめよ」を言わずに生活をするのは無理なことと言えるでしょう。それに、何を触ってもいい、危なくない、という空間で過ごすことは、これからもできないと思います。また、「だめよ」と言われて、それを触らない、という経験は、自分の行動や衝動を抑える、ということを学ぶ場面にもなるので、多動な傾向のあるOくんのような子にとっては、とても大切な練習の場面です。
大きくなっても外出先では子どもは何も持たず、親御さんが子ども用の鞄を持って歩き回ることになるでしょう。まぁこれは例えですが・・・。でも結構目にしたパターンなんですよ。それはたくさん。
印象に残っている例だと中学生のお子さんが外出先で靴が脱げた時、足を出して支援者に履かせてもらおうと突っ立っていた。。。なんてこともありました。教えましたよ。四肢体幹に障がいされているものはないお子さんだったので、靴は脱げたら屈んで自分の手で足に履かせるんだよ、又は自分で脱げた方の足を動かして靴をはめるんだよ、と。なんのこっちゃ。
お子さんが小さいうちは大人も面倒見てあげようという気持ちが比較的強いので身の回りのことを先回りして色々やってあげることが多いのですが、やりすぎるとその子の基本的生活習慣行動の自立・自律が当然滞ります。
「本当は出来るのに、まぁいいか。まだこんなに小さいんだから」といってあれこれやってあげることが習慣化してしまうと、遅くとも5年後には魔の2歳児の大変さどころじゃすまない苦労をすることに親御さん自信が気付くことになるでしょう。
さらに「(めんどくさいから)ヤダー。やってー」が通ると、その後の生活で歯磨きとか学校の宿題とかもやらなくなるお子さんがいます。人生には「やらなければならない」ことがたくさんあるということを教わらずに育つと、何事に対しても「自分がやりたくないことをなんでやらなければならないのか」という思考が優先になってしまうのです。
だから小学校低学年にもなると「学校になんで行かなきゃいけないの。勉強も休み時間もつまらないから行きたくない」という登校渋りが出てくることも少なくありません。
またこの時期は、我慢などをしつつ親や身近な大人に教わりながら基本的生活習慣行動をさらに身につけていくのですが、これが「大人から教えてもらう」ことの基本となる経験となるのです。
なので一生懸命自分で頑張ってやろうとしたり、きちんと我慢したり、大人と一緒にきちんと行動できた時は「よくできたね」「がんばったね」といっぱい褒めてあげましょう。
・「なんで」と質問することが増え、理解を深めながら社会に対する理解を広げる ・自分基準の「よい」「ダメ」が作られる ・自分基準とは反する大人からの要求や反対を受け入れる経験から「我慢」や「自分でやる」「自分を周囲に合わせる」ことを学ぶ ・人から教わる基本姿勢を身につける |
支援が必要な子への対応
・まずはお子さんの興味・関心を広げるために一緒に外出しましょう。なるべく地域子育て支援センターのように幼い子や育児に課題を持つ子の育児に理解を示してくれる場所が良いと思います。常駐スタッフさんは保育士さんなど子育て支援のプロですから、お子さんの課題を察して優しい気持ちで見守ってくれたり時には力になってくれる可能性が高いからです。安全だし親御さんもお子さんも安心して遊べるし、他のお子さんたちの遊びも身近で見ることができます。
・お子さんが水の流れを見たりおもちゃで遊んでいて笑うことがあったら「面白いね」と声を掛けたり、好きな食べ物を一緒に食べて美味しいね、笑顔で話し掛けましょう。この時期、他のお子さんたちがどんどん目まぐるしく成長していく中でなかなかそれが進まない我が子を見て不安に感じる親御さんは多いでしょう。言葉の発達が遅々として進まないお子さんの場合は尚更です。しかし大人が不安に捕らわれ過ぎるとお子さんの手がかかる行動に意識が向き過ぎて、お子さんが気持ちに共感する言葉を大人から掛けられにくい状況になってしまいがちです。そうならないためにも意識して気持ちを表す言葉をお子さんの様子に合わせて投げかけてあげてください。
・日頃から世の中のルールに沿った行動が出来たらしっかり褒めてあげましょう。何を褒められたか分かっていないような様子でも、繰り返していけば「分かっている」ことが大人も分かります。
・お子さんが出来る基本的生活習慣行動は自分でやらせましょう。先ずは簡単なものから。うまくできなくて当然です。なるべく手助けはしません。出来たら褒めます。
・お出かけの際は自分の鞄は自分で持たせましょう。なかにお気に入りのおもちゃとかを入れると自分の物という意識を持ちやすいかもしれませんね。小さなリュックとかがいいでしょう。
要は
・お出掛けする
・話しかける
・ルールを教え守らせる
・自分で出来ることは自分でやらせる
・いっぱい褒める
です!難しくありません!発達がゆっくりなお子さん、「2歳なんて何年も前の話・・・」だったとしても遅くもありません!レッツ・トライ!!
<援助のポイント>
・全身運動が滑らかになり、動きが大きくなってくる時期である。遊びの広がりや子供の動線を考慮しながら、遊具などを安全に配置し、体を動かすことを十分に楽しめるようにする。
・自分でできることが増えてきて自分で何でもやりたがるが、思い通りにできなかったり、やらせてもらえなかったりするとかんしゃくを起こすこともある。子供の気持ちを受け止め、そっと援助しながら、自立に向けての意欲を育てていく。できたときには「できたね」とその姿を認め、その子供なりの満足感や達成感が味わえるようにしていく。
・なりきって遊べるような玩具の準備や、コーナーの設定を工夫する。
<家庭との連携>
・二語文を話すようになり、おしゃべりが盛んになってくる。しかし、この時期は言語面でも個人差が大きく、まだあまりしゃべらない子供もいる。しゃべらなくても言葉をため込んでいる時期であるなど個人差があることを伝えながら、どのように話し掛けたり、かかわったりしたらよい
かを具体的に知らせていく。
・かんしゃくを起こしたり、何でもいやいやと泣いたりしたときに、保護者も子供とどうかかわったらよいのかと悩むことが多くなる時期である。子供の気持ちの揺れも成長の過程であることを知らせ、突き放すのではなく、子供自身が気持ちを立て直せるように代弁するなど、やさしく見守って待つことの大切さを知らせていく。
私がバイブルとして日常的に参考にしている本はこちら!