1歳くらいのお子さんがする【人と関りを持って行う遊び】と言えば「お手てパチパチ」や「いないいないばぁ」のように自分が大人の動きを真似てみて、それを見る大人の反応を楽しむものが多いです。
これはつまり 身近な大人への興味・関心が強くなり、動作・行動を真似ると笑ったり驚いたりしてくれるというような相手の反応の変化に注目しているということの表れです。
遊び自体を楽しんでいるのではなく相手の反応を楽しんでいます。
ということでここでいう社会性のキーワードは
相手の動作を真似することができる
相手の反応を見て判断することができる
です。
ここから1歳児の社会的能力をさらに発展させると、以下のように考えることができます。
・覚えたての片言言葉やジェスチャー等で大人とやり取りをし始める ・大人の顔色を見て「よい」「ダメ」を判断できるようになる ・大人の反応を参考にしながら、社会的なOK・NGの理解が進む ・大人の行動を真似たり、時には教えてもらったり手助けしてもらいながら基本的生活習慣行動の自立をし始める |
なので、この時期のお子さんの社会的発達の目標として以下のものがあげられます。
・簡単な言葉や分かりやすいジェスチャーで身近な大人とコミュニケーションをとることができる ・身近な大人の声掛け・動作・行動等にほどよく注目する ・食事は座って食べる、コップやスプーンを使用する等、基本的生活習慣行動の自立をしはじめる ・よい行動、してはいけない行動があることをなんとなく理解する |
<援助のポイント>
・空腹を感じて食事をしたり、眠くなって昼寝をしたりするなど、欲求が満たされて満足することの実感を重ねられるように、子供一人一人の状態を把握して対応する。
・一人遊びがじっくりと楽しめるような空間や玩具を用意しておく。
・言葉や動作を子供が模倣しやすいようにゆっくりと大きく表すようにし、子供の言葉に丁寧に対応していく。
<家庭との連携>
・伝い歩きや一人歩きをし始めるので、転倒に気を付けながら、動く楽しさや探索する楽しさを十分に味わうことの大切さを伝える。
・離乳食への移行の際は、卵など初めて食べる食材は家庭で試してもらって状況を伝えてもらうとともに、そしゃくや飲み込みの状態を確認しながら完了食へ移行していく。
・空腹を感じて催促するなど欲求を表すことの大切さを伝え、大人が先回りしすぎずに待ち、子供が自分の意思を表す機会を大事にしてもらえるようにする。
・睡眠時間や食事の時間、食べた量などを家庭と連絡し合い、安定したリズムで生活できるようにしていく。
しかしこの目標の達成がなかなかうまくいかないお子さんがいます。その表れとして以下の特徴があげられます。
・「ちょうだい」等の簡単なやり取りにもなかなか応じない ・見てほしいものになかなか注目しない ・身近な大人からの「よい」「ダメ」のサインを感じ取れない ・身近なの動作や動きに意識を向けないため、簡単な基本的生活習慣動作の獲得がなかなか始まらない ・大人からの声掛けやジェスチャー等のサインに意識を向けないために「やるべきことは何か」を理解できない |
こういうお子さんは、実はそれなりにたくさんいるのです。
重度の知的障がいを持っていることもあれば、就学後に社会生活での困難が表面化し軽度の発達障がいの可能性を指摘される等、お子さんたちが持つ障がいの種類や程度は様々です。
なので出来ないからと言って親御さんだけで悩む必要はありません。
子どもの発達に関わるお仕事をしている人たちからすれば珍しくはないからです 。
そのようなお仕事をしている人たちのなかには、目標達成のためにお子さんにどのように大人が働きかければいいか、実際の実務経験から自分なりに分かっている人もいます。
その人たちに会って、相談したり実際にお子さんに関わってもらったり、親としての関わり方のアドバイスをしてもらいましょう。
高いお金を払って専門家の先生の所に出向くのもよいですが、発達相談センターの支援員さんやベテラン保育士さんでも分かっている方はきちんと分かっています。
そういう方に会えるように、先ずは身近な子育てや発達に関する相談窓口に行きましょう。
ところで、目標の達成を促すことなく長期間そのままにしておくと
・他人とコミュニケーションがとれない ・関りを持てる相手が広がらない ・自分で出来ることが少なく、大人から「すごいね」「エライね」と声を掛けられることが少ない ・「ダメ」が分からないため、安全に行動できない ・ケガをよくする |
などの課題や問題が表面化してきます。
このまま成長すれば、お子さんが活動できる社会や人間関係の幅が狭く限られ、また自分で自分の身の周りの世話をすることがほとんどできずに、大人になっても親が食事や着替え、トイレ等の面倒をみなければならなくなります。
またこの課題を克服せずにいると、幼いうちから注意力の欠如や多動傾向に繋がることが多く、不注意による事故やケガの危険性が高まる可能性もあります。
それじゃぁ困りますよね。
何をしても良く、回りの大人が危なくないように、と守ってくれていた時期から、自分で身を守るためにも、「だめ」とか「アップ」と言われ、やってはいけないことがあることを学びます。「良いこと」「悪いこと」という言葉でわかるだけではありませんが、二つの反対の考え方がわかっていくのは、標準的な発達では、1歳半から2歳半前後の時期です。
ここで注目していただきたいのが注意力の欠如や多動傾向について、1歳頃から兆候が現れているということです。
この障がいは、幼児期後期くらいから周囲からそれとなく指摘され始め小学校就学前後で課題や問題が顕著になりやすいのですが、実はもっと早くから分かりやすくサインが出ているのですね。
そこでこの時期のお子さんの社会的発達の目標達成がなかなか進まないお子さんへの働きかけとして以下のものがあげられます。
・関り遊びを通して身近な大人の表情や動作への意識や関心を高める ・お子さんが反応する大人の声掛けやジェスチャーを見つけて働きかけ、反応を引き出す。さらに大人はそれに対して反応を返す ・大人が先回りせずに、お子さん自身が自分の感情や要求を表現するように見守る。表現出来たら褒めながら応える ・やるべきこと(あくまでも本人が出来る簡単なもの)をやり遂げるように促し、「やらなければいけない」ものがあるという理解を深められるように関わる ・簡単なことでも「きちんとできる=ステキ!」を褒め言葉やジェスチャーで、時には大げさにをたくさん伝える |
とにかく大人がすべきことは
①お子さんが意識を向けられる・注目できることは何かを見つけ出し、少しでも反応を引き出す
②お子さんから出た反応に気づく。大人が気付いたことを言葉や表情・行動でお子さんが分かるように伝える
③お子さんが、大人の反応から「楽しい」「嬉しい」と感じるように関わる
です。
お子さんによってやり方は様々ですが、難しい事ではありません。
上記の課題や問題を抱えているお子さんには意識して取り組んでみてください。
お子さんが幼児期後期でも既に小学生だとしても、同じような様子が見られるようでしたら有効です。
まぁ、これは仕事上これまで学んだことと経験が合わさった私なりの意見なので聞き流してくださって結構です。
この業界は何を持って専門家だとか第一人者とか、この人なら解決できる!とかいう確実なものはありません。
結局は、最後は当事者なのです。
長文を読んでいただきありがとうございました。
今日はここまで~。
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