年齢=障害者家族歴な主婦のドタバタのほほん日和

重度自閉症者のきょうだい児として育ち、結婚後は軽度知的障害児二人の母になりました。障害支援分野でNsをやっています ☆

軽度知的障がい児の療育手帳申請2パターン。実際にやってみた

我が家は子供が二人います。そして二人とも幼児期に自閉症スペクトラム・軽度知的障害と診断されました。

発達障害の程度が軽いお子さんは、幼少期は少し「育てにくい子なのかな?」という印象だけで、お父さん・お母さんは「すぐに診断や療育を受けなきゃ!」なんて考えることはあまりないそうです。
下記引用からも分かるように、親というものは我が子の「ちょっと他の子とは違うな?」という特徴を認識しながらも、それを「障がい」と考えて診断・療育の場へ向かおうとすることは難しいのだそうです。だからそれもさもありなんなのです。

母親たちが子どもについて障害だと感じていることと、子どもの障害における診断基準で挙げられている障害特性は一致しており、このことから、一見、母親たちは子どもの診断とその障害像に納得しているように見える。しかしながら、それらの障害特性は日常生活における部分的な要素として理解されているために、子どもの障害についての母親の認識は、「障害」というよりも、「普通でないことは確かだけれど、障害ではない」「こういう子」「普通の子と比べるとやっぱり変」「特性」「少数派」など、それぞれが納得できる母親独自の別の言葉や表現に置き換えられていた。また「対社会的に意識される障害」というカテゴリーに分類された口述内容からわかることは、障害認識の背景には、家庭内においては問題なく日常が送れている時があること、母親自身の障害という言葉に対して抵抗感があること、日ごろは障害として見ないことで子どもと母親自身の精神的均衡を保とうとしていることであった。このような障害の認識の仕方は、「一見障害として見ているようでその実は障害を見ないようにしている」、あるいは「障害を認めないようでいて障害として受け入れる覚悟をもっている」といった相対する感情や認識が母親たちの心理として共通することを窺わせた。そしてそれらの感情や認識は、子どもの発達 とい 、障害れる子どもの養育上必然的に起こる出来事を契機としながらも、母親自身のパーソナリティーおよび環境等の影響を受けながらそれぞれ独自の過程を経て形成されてきていたと言える。

http://repository.ris.ac.jp/dspace/bitstream/11266/5855/3/bulletin6_p001_torihata_etal.pdf#search='%E8%BB%BD%E5%BA%A6%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84+%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%80%85+%E7%A0%94%E7%A9%B6'より引用


私も1番っ子のときはそう思おうとしていました。ちょっとみんなより成長が遅れるているけど、まだ幼いしもう少し様子を見よう、と・・・。でも、やっぱり幼稚園のお友だちより全然お話も出来ないし、集団生活も上手く送れていない・・・
発達障がい?知的障がい?どちらかかも。ううん、もしかしたら両方かも。
一応地域の専門機関に相談しようかな??って、それ何処にあるの?!
なんてことを考えていた頃、1番っ子が通う幼稚園の個人面談がありました。その際、私から相談しなくても担任の先生から「(1番っ子は)ほかの子よりも集団生活についていけていない」「もっと小さな集団で過ごす練習をしてみてはどうか」と、こちらが相槌を打つ間もないくらい早口に言われました。きっと先生もデリケートで言いづらいことを年上の私に一生懸命話してくれていたのだなぁと思います。とりあえず「そうですね。私もそのつもりだったんです」と答えると担任の先生はほっとした表情を見せ、何故かそれと同時に教室に園長先生が入ってきました。廊下で立ち聞きしていたのでしょうか?園長先生は私に「近隣の地域療育センターに連絡を取りましたから」と開口一番に言ったので、さすがにこれには驚きました。だって親である私の了解を得る前に幼稚園側から療育センターに連絡を取っていたのですから。早急過ぎない?これって普通?いやいや、順番ってものがあるでしょう!園長先生曰く「障害があるお子さんは、他の子に暴力をふるったりして保育の妨げになることがありますから、療育センターに行けば園としても補助の先生を付けられますし」と。・・・・え?「保育の妨げになる」?言われる側の気持ちも考慮せず、よくそんなことが言えるな・・・と。
年少さんで幼稚園に入園する前は、当時の職場近くの保育園に通っていた1番っ子。発達の遅れを指摘されるものの園全体で温かく見守ってくれている感じでしたが、環境が変われば受け止められ方・対応方法も大きく変わる。最終的には療育の場に行くことになるとしても、園長先生直々に保護者を呆れさせたり不安にさせるような対応をされるとは。
余談ですがこの幼稚園に勤めていたことがある知り合いからあとから聞いた話、この幼稚園は年度末になると翌年度に障害児対応用の加算報酬を得るために、発達が遅れていそうな子どもの保護者達に今すぐ療育センターに行くように、この面談でいきなり伝えることがある、そしてたとえ大人しくて暴力とは程遠いお子さんについても「障害があるお子さんは、他の子に暴力をふるったりして保育の妨げになることがありますから」と説明をし促す、とのことでした。なんてこった。
確かに面談は2月半ばに行われ、その後の春休み中に「診断書はまだか?すぐに持ってきてくれれば1番っ子が年中になったら補助職員をつけてあげるから急いで!」と幼稚園から催促の電話が掛かってきたことがありました。まだかと言われても、検査・診断は大体1ヶ月待ち、そこから診断を受けて書類を貰うにはさらに待たなくてはならないので困ります。急かされても手元にないものを提出なんてできないし。

でもとりあえず事情を療育センターに話し、新年度にはギリギリ間に合いました。おかげで年中さんのクラスでは補助の先生が「無事に」ついた1番っ子。年度始めには個人的にご挨拶をということで幼稚園に来てほしいと言われたので出向き、お手数をお掛けして申し訳ありませんが1年間宜しくお願いしますと担任と補助の先生に頭を何度も下げました。しかし4月末の懇談会の際、クラスの保護者全員に向けて担任の先生から驚きのお話が。

なんと!
おめでたいことに!!
「補助の先生は妊娠中で、6月から産休に入りまーす(拍手~)」!!!
わ~(ママ達ニコニコ)、おめでとうございまーす(*´ω`*)

って聞いてないし!2ヶ月しかいないじゃん!あれだけ「つけてあげるから」って言ていたのに、なんでその人を1番っ子の補助にしたの?!6月に産休って、前年度から妊娠を把握していた確信犯でしょ!!呼ばれて挨拶に伺ったあの時、「これから1年間よろしくお願いします」という私を見ながら先生たちは何を考えていたんだろう?

その後、毎月の行事に出向いても販売された日々の写真を見ても、1番っ子に補助の先生らしき人はついておらずポツーン。補助の先生が6月以降ついていないことに関してはなんの説明もなく年中さんは終了しました・・・完全に加算報酬ほしさに幼稚園に利用された感じでした。トホホ。ちなみに年長さんでも補助の先生はついたことになっていましたが、その人は「年長さん全クラスの補助」も兼務しており、当然1番っ子の補助どころではない業務実態でございました。しかしそんな中でも、担任の先生は熱心でお友達にも恵まれたことは救いでした。ちゃんちゃん。
教育・保育の世界であっても、同じ子供でも場所によって合う・合わないの差が大きい。相手にどのように我が子を受け止められるかも見極めなければならない。発達障害を持つ子が生活する環境の選定は慎重に行わなければいけないのだと、初めて感じた出来事でした。
himawari0growing.hatenadiary.jp

地域療育センターでは自閉症スペクトラムの診断を受けました

担当のソーシャルワーカーさんによる聞き取り調査、心理士さんによる心理検査、言語聴覚士さんによる言語検査、小児精神科医さんによる問診を各々別々の日に行い(どれも一時間くらい)、それから約3週間後に再び小児精神科医さんにお会いして検査結果を教えていただきました。結果はコミュニケーション能力や社会的発達の遅れがある自閉症スペクトラム。勧められるがままに、週一回幼稚園をお休みして地域療育センターの療育プログラムに私と一緒に通うことになりました。

医師から診断を受けても療育手帳は貰えません

地域療育センターの小児精神科医さんから保護者向けの簡易的な診断書をいただきましたが、それ以外の書類をいただくことはありませんでした。
「各種検査を受け、小児精神科医さんから自閉症スペクトラムと診断される=障害児と認定される=障害がある人の為の社会資源を活用できる」⇒「障害児認定をされれば、様々な公的・民間機関で優遇サービスを受ける機会があり、それにより社会に関わる機会を増やすことができる=1番っ子の社会勉強の機会を増やしてあげられる」と考えていた私は、こんな小さな紙(診断書)1枚でそんな上手くいくのか?と疑心暗鬼になりました。っていうかどんな場面で活用すればいいのだろう??

まだ1番っ子は幼くて当時の様子からこの先どのように成長していくのか想像できませんでしたが、幼稚園での出来事もあり、もし必要ならばどんどん国や自治体の障害児用の制度を活用したい。そして1番っ子が安心して少しでものびのびと楽しく成長し、少しずつ自律していければ・・・と思っていました。しかし地域療育センターの医師から診断を受けたところで活用できるのは当該センターの週一回の療育プログラムのみ。う~ん、折角ここまでしたのにこのままでいいのだろうか・・・
軽度と言えども知的障害児。答えが見えない現状と幼い我が子を前にして「このままで大丈夫」という気持ちと「漠然と不安」とした二重スパイラルにグルグル陥ってしまいました。

「軽度」発達障害においては、問題なく日常を送り状態を肯定する気持ち(表)と、ふとした瞬間に思い知らされる障害の部分を忘れられない否定的な気持ち(裏)が同時に語られるということが特徴である。つまり「軽度」発達障害においては、 “障害”であることと“その子らしさ=個性”との揺れ動きや、 “普通である”ことと“普通でないこと”の葛藤が、状況によって表裏のどちらか片方が見えるというよりも、常に両方の面が見えている状態だと考えられる。このような葛藤状態をモデルで表すと、たとえば DNA 配列のような二重の螺旋構造のようになるかもしれない。肯定と否定のそれぞれの配列の鎖は、お互いに一定の距離を保ちながら螺旋を描いている。そして横から見て双方の鎖が交差し、一致したと思われるときでも、その状態を上から眺めれば、鎖同士の距離は相変わらず一定の距離を保っているのである。

http://repository.ris.ac.jp/dspace/bitstream/11266/5855/3/bulletin6_p001_torihata_etal.pdf#search='%E8%BB%BD%E5%BA%A6%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84+%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%80%85+%E7%A0%94%E7%A9%B6'より引用

障害児認定による公的書類は3つ!

そこで地域療育センターのソーシャルワーカーさんに電話を掛け、これといってまだ予定はないのだけれど将来の為に軽度でも「障害児であるという公的証明が欲しい」と相談をしました。当のソーシャルワーカーさんは、「障害児認定なんて、軽度のお子さんはされても大して変わらないですよ」と乗り気ではない様子(なぜ?)。しかし障害児認定による自治体が発行する書類は大きく分けて3つあることを教えてくれました。

その3つとは、「身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳」です。
himawari0growing.hatenadiary.jp
1番っ子が当てはまるとしたら知的障害を根拠とする療育手帳だろう、でも検査をして知的障害児に当てはまるIQ であることを証明しなければならない。IQ の数値が知的障害児として該当しなければ発行はされないという説明を受けました。
ちなみに該当IQの条件等は以下引用をご参照下さい。

総務省行政評価局が14道府県及び2政令指定都市の状況を調査したところ、知能指数の上限値がおおむねIQ75と設定しているところとおおむねIQ70と設定しているところに分かれた。設定している知能指数の上限値を上回った場合でも、社会適応能力、専門医の診断結果などを総合的に判定し、交付する場合があるとするものもある

療育手帳 - Wikipediaより引用


じゃあ小児精神科医さんが診断した自閉症スペクトラムという診断や心理士さんが行ってくれた心理検査は、公に障害児として認定される根拠とならないものなのでしょうか??あの検査結果の効力は如何ほどなの???とやや疑問に思うところもありましたが、そこは黙っておいて「是非その検査を受けさせてください!」とお願いしました。しかし「イエイエ、療育手帳申請に関する検査は療育センターではやっていないんですよ」との即答が。

え!!「療育センター」と「療育手帳」。名前は似ていますが、どうやら直接的な繋がりはないそうです。それもそのはず、療育手帳所持に該当する知的障害を持つ児童であるかどうかを判定するのは、日本全国どの自治体でも児童相談所のみなのです。

地域療育センター自体はとても大きな施設で各種専門職の方が多く働いていますが、あくまでも相談援助・訓練・療育を中心に行う民営施設。国・自治体が定めた大まかなルールに則って運営しています。しかし明確な定義はなく、内容は運営法人により様々です。対して児童相談所とは子供に関する様々な相談に応じる児童福祉専門の行政機関です。運営自体が法人か行政か、と考えると根本的に違う機関なんですね。

1番っ子の時は療育センターのソーシャルワーカーさんから児童相談所に連絡を取っていただきました

地域療育センターのソーシャルワーカーさんは、1番っ子のセンターでの各種検査結果を児童相談所に送付した上で改めて知的障害の有無を判定してくれるようお願いしてくれました。そしてすぐに児童相談所から私の電話に連絡が来て、検査の日程を調整しました。概ね検査まで1か月ほど要します。
検査日、児童相談所に行くと母子共に検査室に案内され心理士さんによる心理検査を受けました。幼児期はそばで見ていてもよいみたいで1時間弱検査の様子を同じ部屋で見ていました。

・・・あれれ?これって地域療育センターでやったものと同じ心理検査じゃない?

そうなのです。これは3月に地域療育センターで受けた田中ビネー知能検査V。まだあれから半年もたっておらず、ソーシャルワーカーさんから検査結果も送られているようですが、療育手帳発行申請の為には児童相談所で一から検査をやり直せねばならないのです(二度手間!?)。そして検査後は心理士さんから私に、1番っ子の日頃の生活の様子などの聞き取り調査をしました。その間1番っ子はそばでおもちゃで遊んで待機です。これで検査は終了です。トータル1時間半くらい。療育センターみたいに医師の診察や言語検査はありません。
そして1か月後に児童相談所から再び電話があり、検査結果を教えてもらいました。

ただしIQ数値などの詳細は電話ではなく文書でお伝えします、必要ならば児童相談所に取りに来てくださいとのことでした。検査結果は軽度知的障害に該当するので療育手帳は発行可能。ただし発行は役所で行うので、出来上がったら役所から連絡が来るので貰いに行ってくださいと言われました。

それから数週間後に役所から連絡があり1番っ子の顔写真など指定されたものを窓口に持って行くと、その場で療育手帳をいただきました。そして担当の方から療育手帳の階級と、それによる公的な優遇サービスなどの説明を受けました。地域療育センターのソーシャルワーカーさんが言っていたように、この担当者さんも「軽度だからそんなに該当するものはないんですけどね」とは言っていたのですが・・・とんでもない!実際にはたくさんの優遇を受けている今日この頃です。これについては長くなるのでまた追々お話しできればと思います。


2番っ子のときはもっと簡単な流れで申請しました

1番っ子と似たような発達をした2番っ子。さすが血を分けた家族です。言葉の遅れや社会性、幼児期の興味の対象など本当によく似ていました。

そこで年少さんになる前に、就学やその前に必要になることもありうるかもしれないと考え、そろそろ療育手帳を発行してもらおうかな?と行動を起こすことにしました。
地域療育センターをはじめとする療育機関に何一つ通っていなかった2番っ子。1番っ子のように療育センターのソーシャルワーカーさんに相談してから申請すると、また一から担当のソーシャルワーカーさんによる聞き取り調査、、心理士さんによる心理検査、言語聴覚士さんによる言語検査、小児精神科医さんによる問診を受けなければなりません。検査結果が出るまでに、地域療育センターだけで2ヶ月弱・・・。正直面倒です。
とりあえず今回の目的は療育手帳取得!となれば、まずは児童相談所に電話です。

私「もしもし、お忙しいところすみません。療育手帳の新規申請をしたくて検査を受けたいのですが」
児童相談所の人「療育手帳の新規申請ですね。検査は〇日以降でしたら可能ですが、ご希望の日時はありますか?」

おおっと。いきなり児童相談所の検査にこぎつけました。そして検査当日。児童相談所にて1番っ子と同じように母子共に部屋に案内されて検査と聞き取り調査を受けておしまい。後日児童相談所の方から検査結果を聞いて、役所から連絡が来て窓口に発行された療育手帳を受け取りに行きました。

早っ!!!

まとめ

療育手帳の発行自体は、児童相談所しか受け付けていません。軽度障害の場合、敢えて療育手帳の取得を福祉専門職員の方から勧められることもありませんので、取得するならば保護者が動き出すしかありません。1番っ子の時のように児童相談所に「療育手帳の申請をしたい人がいるんですけど・・・」とソーシャルワーカーさん等が連絡してくれる場合もあるのですが、自分から児童相談所に電話をかけて相談するほうが時間も手間もかからずシンプルです。これが重度の障害とかなら色々な方が介入するほうがいいのかもしれませんが、障害程度が軽度の場合は断然こちらがおすすめです。療育手帳取得を検討している方は是非児童相談所に相談しましょう!!

おまけ

軽度知的・発達障がいを持つお子さんの学習についてお悩みの保護者様へ。
WEB学習デキタスは、ポップでキュートな動画を用いてとっても簡単な難易度から学校の勉強に取り組むことができます。「市販のドリルでも嫌がってやろうとしない」「どの教材でも長続きしない」お子さんでも、これだけ簡単な問題ならば取り組めるかも!?主要教科を網羅・教科書に準拠し、国語・算数(数学)・理科・社会・英語を学べて月額利用料金は小学生で3000円、中学生では4000円だけ!他のWEB学習型教材よりも格安です。そしておうちのPCやタブレットで出来るので新たに専用端末を購入する必要もありません。興味がある方は、先ずはお試しで無料体験を数日利用してみてください!無料体験を利用しても、その後に営業の電話やDMが大量に送られてくることもないので安心ですよ。



またLITALICOワンダーでは幼児期から高校生まで少人数で様々なプログラミングを学ぶことができます。
このLITALICO、実はそこそこ有名な大手療育関連会社が運営する教室です。その為知的・発達障がいを持つお子さんの対応のノウハウも持っています。
はじめての習い事に検討してみるのもいいでしょう。